紫波サイダー物語10

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告白すべきことがある。「僕はサイダーを作りたい」と書いたのは、必ずしも真実ではなかった。他にも関わる人がいて、その人達と一緒に作りたかったからだ。多くの人は、僕の妻、さおりが関わっていると正しく推測したと思うが、実はもう1人いる。その人物はワレニウス・ミカさん。

 かつて僕は彼と同じ職場で働いていた。2016年のオガール祭りで一緒に飲んでいた時、彼はワイン作りを夢見ている、と僕に打ち明けた。その時点で既に、妻と僕はサイダリー事業の実現に向けて動き出していたので、彼を仲間に誘うのは当然の成り行きだった。

 ミカさんは誘いを受け入れ、この1年間はチームの一員として、僕達がこれまで書いてきたインタビューの多くに同席するなどしてきた。

 彼は昨年8月から11月にかけて行われた町主催の「リノベーション事業化講座」に参加した。これは、民間主導で遊休不動産を活用し、新しい使い方をして地域に新たな価値を生み出す「日詰リノベーションまちづくり」の一環で、この理念の下で起業を目指す参加者を支援するもの。

 僕はミカさんにこの講座に参加した経験をインタビューした。以下は、その概要だ。

この1年間、どんなことを水面下でやってきた?

リノベーション事業化講座に参加し、考え始めなければいけないこと、進むべき方向を学んだ。収入や物件探しのことなども話した。サイダリーを始めるにあたって、サイダー作りの他にこんなにもやることがあるということが理解できた。自分には事業経験がないので、こういった理解が必要だった。

 最初のうちは全てが漠然としていて、何が起こるべきなのかがあまり分からなかった。でも、ジェフとさおりが進めていた調査を活用し、税務署などから得た情報を使って講師の質問に答えていきながら、アドバイスをもらうことができた。

事業化講座で得た大きな成果の1つは、段階的な進め方をするべきというアドバイスだと思う。

最初から醸造所を始めるのではなく、委託醸造をする。つまり、他の製造者にお願いして、そこの設備を使い、ジュースを持ち込んで売りたい製品を作る。そのメリットは、既に酒造免許を持つ場所を使わせてもらうので、自分達のサイダリーに課せられる最低製造量よりも少ない量から始められること。

 事業化講座の講師の1人は東京でブルワリーに関わっていて、彼らは委託醸造から始めたと言っていた。まだ委託醸造をしていて、結構な量を作っているそうだ。

 興味深いのは、自分達が2016年12月にエーデルワインの行川さんに第1弾のインタビューに行った時、彼も委託醸造の話をしたことだ。事業化講座を経て、自分達の事業計画に委託醸造を組み入れることにした。

僕は委託醸造でできる以上の量を製造したいと考えていたので、委託醸造には消極的だったが、税務署から、酒造免許を取得するには製造した物を売ることができると証明する必要があると言われた。しばらくは委託醸造にして販売に注力できれば、いざ酒造免許を申請する時に、確立した販路を税務署に示すことができると思った。

正しく、それは講師が自分に言ったことだ。製品を作ることができてその売り先も確保している、と証明することは、酒造免許の取得に役立つし、金融機関に融資を申し込む時にも役に立つ。

事業化講座の目的の1つは、遊休不動産を活用して新しいものを作り出す起業家を支援すること。僕達が使えるような物件探しには役立った?

今の所はまだ。2、3の物件を紹介されて、期待できそうなものもあったが、いわゆる自分達が求めているものではなかった。やらなければいけないことは、サイダー作りができて、自分達に合う物件を探すことだ。行きやすい場所にあること。将来的に拡大できるように、余分な広さもあればなお良い。理想的なのは、他の店などに歩いて行ける所。

今年何をするかを話そう。

忙しくなる。次の段階に進む準備をして、委託醸造を始める。1,000リットルから2,000リットルぐらい作れたらいいだろう。そうするためには、資金面の準備に取り掛かることと醸造の知識を得なければならない。

 3月には、シードルの先進地長野県に初めての研修旅行に行く。4月からは、工業技術センターで醸造の研修を受ける。これは酒造免許に必要なステップだ。その後は、勉強を続け、実際にどこかの醸造施設でインターンのようなことをしたい。

 紫波サイダリー(Shiwa Cidery)としてソーシャルメディアも積極的にする。インスタグラムでは、サイダーだけでなく、様々なもののレビューをする。YouTubeのチャンネルも始め、最初の動画は4月2日に投稿する。動画の投稿は週2回の予定。最初の2本は長野の研修旅行について。日本語での動画制作は難しいから、しばらくはつまらないだろう。でも、自分達の取組みに関心のある人はぜひ見てほしい。

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